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KEIRINグランプリ2013

中部の“輪”が金子貴を優勝に

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2度のG1Vと同様に深谷知広選手の番手から、GPを制覇した金子貴志選手。大勢の仲間に胴上げされ、祝福を受ける。

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デビュー19年目にして、初めてつかんだグランプリのキップ。初めての経験だった大一番までを迎える、長いようで短い前検日からの時間だったが不安はなかった。信頼できる弟子、仲間との時の流れはあっという間に過ぎていった。
「このままずっと1カ月くらい続けばいいんですけど」と、前日夕方の指定練習でもリラックスしていたように、金子貴志に気負いはなかった。今年までG1決勝の舞台から遠ざかりながらも、自分をもう一度奮い立たせてくれた最高の弟子、深谷知広の存在が、何よりも大きかった。

「深谷が優勝を狙えば、僕にもチャンスがあると思っていた。深谷は早めに出ていったし、出させるのかと思っていたら。まさかあんなところから踏んでくれるとは」

先頭に立った時から、すでに腹は固まっていた深谷。ハナを別線に譲る気はなかった。

「僕の考えが及ばないようなことを深谷は考えていますからね。すごすぎます」とは、2度目のG1奪取となった競輪祭での金子の言葉だった。グランプリでも師匠の金子の想像を絶するハイペースを作り出し、別線をクギ付け。金子にとっては願ってもない展開が訪れた。

「自分の脚も4コーナーを回って余裕がなかった。結構、脚にきていましたね。でも、3番手に浅井(康太)君がいたので落ち着いて走ることができました。本当にラインの大切さがわかりました」

4番手の長塚智広は動けず、唯一まくって出た村上義弘も中団まで。渾身の追い込みで金子が、ゴール板を真っ先に駆け抜けた。
「もうちょっと余裕があると思ったけど。本当に自分が1着なのか、(ゴールして)オーロラヴィジョンを見るまではわからなかった。自分が調子の悪い時に深谷が弟子になって、それで刺激を受けた。結果が出るたびにモチベーションも上がって、それがまた結果につながった」

初戴冠の寛仁親王牌、今年最後のG1、競輪祭と2度のタイトルを深谷の番手で結実させた金子が、年末の大一番も締めくくった。これでグランプリの優勝賞金1億円を加えて、初の賞金王の座にも輝いた。
「こんないい年はないと思うんですけど、来年に向けてまたさらに練習して(賞金王、グランプリチャンピオンに)恥じないレースをしていきたいと思います。まさか自分が1番車のチャンピオンユニフォーム着るとは…。まだ、信じられない。ここから気持ちを入れ替えて、まだいけなかった領域に」

38歳にしてまだ見ぬ境地を開こうとする金子。栄光の1番車のグランプリユニフォームで、14年は新たなステージを迎える。

 

愛知コンビの後ろから、直線で中を突っ込んだ浅井康太だったが2着まで。一昨年、昨年の3着に続く表彰台。

「しっかり(ラインの)援護はできたし、最後は自分にもチャンスがあったと思う。2着は悔しいけど、あれで金子さんを抜ければ…。来年の目標ができました。3着、3着より、今年は2着で出世したでしょ」

 

3車でまとまった関東ラインをけん引した長塚智広は、4番手をキープしたが深谷のスピードにはお手上げ。早めの追い込みで、3着がいっぱいだった。
「ちょっと行けるスピードじゃなかった。(深谷が)すごい強かった。師弟ラインの絆に負けました」

 

すべてを出し切った深谷知広は、引き揚げてきた直後は息も絶え絶え。呼吸を整えて、振り返る。

「作戦は決めていなかったけど。もう先頭に立った時点では、先行だと。絶対に(誰も)出させないつもりでした。最後のちょっとでしたね。これがグランプリの難しいところだと思う」

 

単騎の村上義弘が7番手から最終バックでまくりを断行したが、前までは遠かった。

「グランプリは勝たないと意味のないレースだし。誰かの仕掛けを待つよりは、自分の行けるところで仕掛けようって。行けなったのは、自分の脚ですね」

号砲が鳴り新田祐大がスタートを決め誘導の後位へ。成田和也が続いて北両者が前団。単騎の村上義弘が3番手へ、長塚智広―平原康多―後閑信一の関東勢が中団、深谷知広―金子貴志―浅井康太の中部勢が後方で隊列が落ち着き、周回を重ねる。

最初に動いたのは深谷、青板3コーナーからじわじわと上昇を開始する。深谷は赤板直前で誘導を早々と交わして先頭に。長塚が深谷の動きを追って4番手、村上が7番手へ切り替え、新田が後方へ下げながらの位置で打鐘を向かえる。先頭の深谷は打鐘3コーナーから一気にスパートし先行態勢へ。隊列は変わらず、一本棒で最終ホームを通過する。全開で逃げる深谷に対し、最終バック7番手の位置から村上が仕掛けるが3コーナーで一杯に。長塚は最終2センターから車を外へ持ち出しスパートするが、深谷後位から直線を追い込む金子との差は思ったようには縮まらない。金子は内から迫る浅井、外を追い込む長塚を振り切って、グランプリ初優勝を達成した。

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