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第28回全日本選抜競輪

平原康がGP一番乗り

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最後はシビアに突っ込んだ平原康多選手が、久々のG1制覇。ケガに泣いた昨年だったが、今年は早々に結果を残した。

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昨年の悪夢に臆することなく、平原康多がシビアな突っ込みで2年半ぶりのタイトルをもぎ取った。2日目「スタールビー賞」とは一転して、ファイナルでは苦楽をともにしてきた武田豊樹に前を委ねたのも、熟慮を重ねた上での決断だった。その武田が平原の意気に応える大立ち回り。息の合ったコンビプレーが光った。

「基本的には武田さんは、自分の意見を尊重してくれるんで。今回は武田さんがすごくいいレースをしていたし、前を回った方が武田さんにもチャンスがあると思った。自分が(武田に)お願いした感じです」

武田が最終ホームで先行態勢に入るが、すさまじい勢いで福島コンビが襲い掛かる。平原は最終1センターで成田和也を猛ブロックでどかして、武田をアシスト。武田が鈴木謙太郎の番手に収まった。

「武田さんの後ろを回っている以上は、最低限のことはしないと。そうじゃないと意味がないで。ただ、最後は勝負に徹しました」

鈴木との車間を詰めた武田を、直線の立ち上がりでインから当たって中割りを敢行。迫りくる深谷知広と凌いで、先頭でゴール板を駆け抜けた。  昨年9月のオールスターでは右鎖骨を折るケガに見舞われた。それにもめげることなく、悪夢を払しょくするべく勝負の鬼と化した。

「ゴールして勝ったのはわかったけど。自分が審議に上がっているのかと思って、ちょっと手は上げられなかった。(昨年まで)ずっとよくなかったんで、今年に入ってファンのみなさんにちょっとずつ恩返しができてよかった。(落車のケガで)思うように体が動かず、自分の思うような競走ができなくて情けない気持ちが強かった。それでも自分ではいろいろ研究をしてどうやったら勝つことができるのなって考えてやってきた。悪いことが重なったけど、それもいい経験だと思います」

プラス思考で苦難を乗り越えた平原が、今年は誰よりも先にグランプリの出場権を手に入れた。

「まだ先が長いし、もっともっとG1で活躍できるように頑張っていきたい。一戦、一戦を全力で頑張るだけだし。トレーニングと練習を怠らないように」  09年は平原の先導で松山オールスターを制覇した武田豊樹が、平原のVに納得の表情でしみじみと振り返る。

「きょうは平原君に任せてもらったし。オールスターの時に前ですごい頑張ってくれたのを思い出しながら走っていた。ラインの平原君が獲ってくれたんで。ラインを組んでよかったし。彼の苦労をすごく近くで見ていたんで、勝ってくれてよかった。(平原に)内に来られても、そこは勝負だし仕方ない。あそこを平原君が内に行ってなかったら、深谷君が優勝していたかもしれないし。いい判断だったと思う」と、武田は潔く盟友をたたえるのだ。

最終2コーナー手前の藤木裕の落車を紙一重で避けた深谷知広が、まくり追い込みで見る見る前団との差を詰めるが、あと一歩及ばず。

「(落車を)避けた勢いのままで行けばよかった。神山さんも付いているし、早めに行きたかったけど。踏むところがなかった。あの展開をモノにしないとダメですね。差したと思ったんだけど…」と、VTRを見ながら、深谷は唇をかむ。

単騎の海老根恵太は、抜群の嗅覚で武田ラインを選択。絶好の流れにも思えたが、鈴木に離れた成田と絡んだのが最後まで響いて3着。

「武田さんが一番力があるし、そこからと思っていた。(成田を)しゃくれれればよかったけど、そこで脚を使っちゃいました。とっさの判断ができていない…」

藤木の落車で大外に弾かれるように避けた村上義弘は、そこで万事休す。藤木を気遣いながら、帰り支度を始める。

「藤木が引っかかって、横に飛んだんで。自分も大きく避ける展開になった。あんだけダッシュして、それからバックを入れたらいっぱいです。それでも藤木は前に前に踏もうとした結果だし。今回は落車したけど、必ず結果につながってくると思う。京都勢はまた出直しです」

号砲で成田和也が大外から勢い良く飛び出し、目標の鈴木謙太郎を迎え入れる。隊列は鈴木—成田の福島コンビが前団、中団は藤木裕—村上義弘の京都コンビ、武田豊樹—平原康多、単騎の海老根恵太が続き、深谷知広—神山雄一郎が後攻めの形で落ち着く。  赤板前の4コーナーから深谷が上昇を開始。これを追った武田が打鐘前に仕掛けて先行態勢に入る。単騎の海老根恵太が武田ラインを追い、その後ろは深谷と藤木で併走。これに対し、後方まで車を下げた鈴木が2センターから一気の巻き返しで前団に襲いかかる。鈴木は1コーナーで武田を捕らえて先頭に踊り出るが、成田は平原にさばかれて後退。武田が鈴木の番手にはまる。2コーナーで内に降りた成田と藤木が接触して、藤木が落車。神山もこれに乗り上げて落車する。懸命に逃げる鈴木を武田、平原の順で追って、海老根がその後ろを確保。最終4コーナーで3番手から中を割った平原が激しい直線の攻防を制して3年ぶり4度目のG1制覇を果たした。後方6番手で態勢を立て直した深谷がまくり追い込みで2着に強襲。単騎の海老根が武田を交わして3着に食い込んだ。

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